【ソード・ワールド2.5】クトゥルフからの呼び声 ~call of cthulhu~【自作シナリオ配布】
今回は半強制的にソード・ワールド2.5のルルブを購入させられたので、せっかくだからと書いてみたシナリオを公開したいと思います。
このシナリオにはパロディ元が存在します。
パロディ元は「ダニッチの怪」の設定部分(名称や地名等)となります。
原作を知っているプレイヤーの不意を突く為に、キャラクターの人格や続柄等を大幅に変更しています。加えて悪ふざけ要素をかなり入れて書いたシナリオですので、大らかな気持ちで読んでいただけると幸いです。
※尚著作権は放棄していません。
ニコニコやYouTube等でリプレイ動画を作成してくださる方がおられましたら、概要欄等にリンクを貼っていただますと幸いです。
セッションの準備
難易度としては1回か2回程冒険に出たキャラクターを使用した想定のシナリオとなっています。
初心者向けシナリオとして遊ぶ場合、キャラクター作成時に経験点を1000~1500点程追加で配布すると丁度良い塩梅になるかと思います。
基本的な判定は「ソード・ワールド2.5 ルールブックⅠ」に記載されている内容でプレイ出来ます。プレイ人数は3人位を想定していますが、プレイ人数に合わせて敵の数等をGMが調整すれば難易度調整は容易に行う事が可能です。
ソード・ワールドは戦闘が多いイメージのTRPGですが、本シナリオはロールプレイメインで進むシナリオとなります。戦闘を行う事が目的の場合、本シナリオとは合わない可能性もありますのでご注意ください。
シナリオの概要
このシナリオは、何処かの大陸、沿岸部にあるそこそこ栄えた都市”アーカム”から物語が始まります。PC達はアーカムに存在する冒険者ギルド「アーカムサーチャーギルド」に登録したばかりの駆け出し冒険者です。ダニッチ村からギルドへ奇妙な討伐依頼があり、冒険者達はギルドマスターから直々に化け物討伐の依頼を頼まれる事となります。
冒険者は依頼を受け、ダニッチ村へ赴き、最終的に「神話生物を討伐する事」がシナリオクリアの目標になります。
特別ルール
本シナリオではSAN値とSAN値チェック、アイデア判定のクトゥルフ神話TRPGに存在する特殊な判定を導入しております。
SAN値(ステータス)
- SAN値は始め5として設定する、この値は低ければ低い程正気の人間である事を示す
- プレイヤーが操る冒険者について、SAN値の下限は原則『 5 』として設定、特殊な状況であっても『 3 』を下回る事は無い(NPCはその限りでは無い)
SAN値チェック(判定)
- SAN値チェックはSAN値を目標値として『 2D6 』を振って判定を行う
- SAN値チェックが目標値以上であった場合、成功した場合のSAN値上昇を行う
- SAN値チェックが目標値を下回った場合、失敗した場合のSAN値上昇を行う
- SAN値が1度の判定で5以上上昇した場合、冒険者はアイデア判定を行う
- SAN値が12を上回った場合、SAN値チェックでクリティカル(6ゾロ)を出さない限り一時的狂気状態を免れる事は無い(アイデア判定も省略される物とする)
- SAN値チェック後のアイデア判定に成功してしまった冒険者は一時的狂気に陥る事となる
アイデア判定
- アイデア判定は『 2D6 + 知力ボーナス 』で判定を行う物とする
- 目標値は原則として9以上とし、簡単に気づける事であれば7を下限として設定する
- アイデア判定はクトゥルフ神話に関連する物事を鑑定、判断する場合や、一時的狂気に陥るかどうかの判定等に使用する
- アイデア判定はゲームマスターからプレイヤーに対し判定を促す物とし、プレイヤーから提案する事は出来ない物とする(状況次第ではPLからの申し出を受け入れる柔軟性もGMには必要である事に留意する)
神話生物知識判定
- 一定以上クトゥルフ神話の魔術に触れた冒険者は『 神話生物知識判定 』を行使する権利を得る
- 神話生物知識判定の目標値は27から始まる物とする(従って暫くはクリティカル以外で成功する事は無い)
- 神話生物知識判定は『 2D6 』を振って判定を行う
- 神話生物知識判定の目標値はクトゥルフ神話の魔術に触れる機会が増える毎に減少していく(深淵なる知識に触れる程狂気の世界の一旦を垣間見る事ができるのだ!)
- クトゥルフ神話の魔術に触れる為には最低でも何らかの「魔法使い系技能」を所持している必要がある
- クトゥルフ神話の魔術に触れた事が無い冒険者の場合 : 魔法使い系技能で習得できる「情報収集系の魔法」を用い、儀式や魔術の痕跡を鑑別(判定に成功)する事で『 神話生物知識判定 』を行使する権利を得る
- クトゥルフ神話の魔術に触れた事が有る冒険者の場合 : 魔法使い系技能で習得できる「情報収集系の魔法」を用い、儀式や魔術の痕跡を鑑別(判定に成功)する事で『 神話生物知識判定 』の目標値が1づつ減少する
- 「情報収集系の魔法」を用い、儀式や魔術の痕跡を鑑別(判定に成功)できた場合、固定でSAN値を1上昇させ、追加でSAN値チェックを行う物とする(SAN値の上昇値は個別に設定する)
- 一度鑑別した事のある儀式や魔術の痕跡を鑑別しても、目標値は減少しない物とする(同様にSAN値上昇やSAN値チェックを行う必要は無い)
- 神話生物知識判定は「同様の神話生物毎」に「1日に1度のみ判定を行う事が出来る」ものとする
例1 : 朝、深きものに判定を行った後、その日の夜に再度、深きものに対して判定を行う事は出来ない
例2 : 朝、深きものに判定を行った後、昼ショゴスに判定を行う事は可能である
例3 : 1日目の夜、深きものに判定を行った後、2日目の朝、深きものに判定を行う事は可能である
一時的狂気
- SAN値チェックに失敗後、一定以上のSANを失った事でアイデア判定を行いそれに成功した場合一時的狂気に陥る事となる
- SAN値が12を上回っており、SAN値チェックに失敗(6ゾロを出せなかった)場合、強制的に一時的狂気に陥る事となる
- 一時的狂気は『 2D6 』を振る事で判定を行い、出た目に応じて発狂内容を決定する
- 一時的狂気に陥った(発狂してしまった)場合、プレイヤーは発狂内容に応じたロールプレイを行うものとする
- 一時的狂気に陥った場合、追加で『 2D6 』を振り、『 出た目の数値 = 発狂状態の戦闘ラウンド数 』として扱うものとする
- 一時的狂気に陥った場合、全ての判定、全てのダメージ値の算出結果に対して、マイナス補正『 -2 』を受けるものとする
- 戦闘へ突入する可能性の無い状況で一時的狂気に陥った場合は、短時間プレイヤーに発狂ロールプレイをしてもらい、数分経過した時点で発狂は解けるものとする
一時的狂気表
- ” 2 ~ 3 ” : 一時的な記憶喪失(朝起きてから現在までの記憶が無い状態)
- ” 4 ~ 5 ” : 一時的な攻撃衝動(周囲のランダムな対象に徒手格闘での攻撃を加える)
- ” 6 ~ 7 ” : 一時的なパラノイア状態(自分以外の他人に対しての異常な不信感と攻撃衝動に襲われる)
- ” 8 ~ 9 ” : 錯乱状態に陥り、その場から逃走する(邪魔しようとする対象は攻撃対象と認定する)
- ” 10 ” : 奇妙なもの、異様なものを食べたがる(泥、粘着物、人肉、神話生物など)
- ” 11 ” : 情緒の著しい変化(急に笑い出したと思ったら泣き出し、次には金切り声を上げるなどして戦闘や行為判定等が一切取れなくなる)
- ” 12 ” : 失神する(一切の行動が不可能となる)
名前のある登場人物
NPCの名前と役割を簡易的にまとめたリストが以下の文になります。(太字は重要な役割を持つNPC)
ネームドNPCリスト
- ハワード・フィリップス・ラヴクラフト : ギルドマスターであり偉大なる御大
- ヘンリー・アーミテッジ : 馬車の御者 & ダニッチの森の案内人
- ジョー・オズボーン : 独自に化け物を倒そうと動いている雑貨店の店主
- ウィルバー・ウェイトリー : ダニッチ村の村長(今回のシナリオで目立った動きはしない)
- ジョージ・ウェイトリー : ウィルバーの祖父(シナリオ未登場 & 老ウェイトリーに適当な名前を当てただけ)
- ラヴィニア・ウェイトリー : ウィルバーの母(シナリオ未登場)
- ウェイバー・ウェイトリー : ウィルバーの兄(シナリオ微登場 & 弟から兄へ続柄を変更し適当な名前を当てた)
- ウィリアム青年 : 化け物を発見した青年、発狂してしまった
- ウィリアムの母 : 発狂してしまったウィリアム青年の面倒を見ている、疲れからやつれている
0. 始まり
シナリオ名 : 新人冒険者達の輪舞曲(嘘のシナリオ名)
テラスティア大陸、ユーレリア地方にある(勿論嘘である)、ギルド名 : ダスネルーガギルド(勿論嘘のギルド名である)、君たちはそこへ所属する新人冒険者か、あるいは1回程冒険に出た新米冒険者だろう。いつものようにギルドのクエストボートとにらめっこをしつつ、良い依頼は無いだろうか?と目を皿のようしにて依頼文を読んでいる。君たちは既にパーティを組んでいる仲間かもしれないし、2~3回ギルドで顔を見た事がある程度の他人という関係かもしれない。この状況で君たちはどのような会話をしているだろうか。(事前に決めて居ない場合、ここでキャラクターの関係性を決める)
ひとしきり適当な会話をした後、依頼書の話へ戻るだろう。クエストボートへ張り出されている依頼はどれも日雇労働物ばかりだろう。ここで冒険者達は各々、自身の持つ技能で行えそうだと思うような仕事を宣言し、依頼を受ける。
ここでは普段の冒険者の日常がどのような物であるかを他のPLと共有、本人の中でもキャラクターを明確に固めるための描写をする。もしPLから意見が無い場合は薬草採取、衛兵の訓練、衛兵業務、飲食店でのバイト、スキルがあれば知能労働、肉体労働、近隣に出た蛮族の討伐等を提案する事も良いだろう。
報酬は一律で100G、戦闘をした場合は戦利品を金銭へ変換する事も可能である物とする。
日雇い労働で1日を終え、ギルドへ集まり、君たちは酒を酌み交わすかもしれない。この状況で君たちはどのような会話をしているだろうか。
こうして夜が更けてゆき、翌朝、君たちはギルドで顔を突き合わせる事になる。昨日と同様にギルドのクエストボートとにらめっこをしつつ、良い依頼は無いだろうか?と目を皿のようしにて依頼文を読んでいる。
この部分は必ずしも必要という訳ではなく、省略してしまっても構いません。
卓やメンバー、状況に合わせてゲームマスターの判断で採用や省略を行ってください。
1. 本当の始まり
そんな折、君単体、もしくは君たちへ声が掛かる。
そうこのギルド、北アメリカ大陸はマサチューセッツ州・アーカムに居を構える「アーカムサーチャーギルド」!そこのギルドマスター改め御大、ハワードさんからのお声がけだ!
シナリオ名 : 新人冒険者達の輪舞曲…改め
シナリオ名 : クトゥルフからの呼び声 ~call of cthulhu~
恐怖と狂気と神をも冒涜せしめる常識の外、外宇宙からの侵略者、この星全ての生物を残らず蹂躙せしめんとする、強大な力を持った古のものたち。彼らが齎す忌々しい、瀆神的で冒涜的、狂気を孕んだ脅威に対し、君たちは立ち向かう事となるのだ!
彼は「君たち、君たちに直接の依頼がある。奥へ来てくれ。」というとギルドの中でも関係者しか立ち入る事の許されていない、古書だらけの部屋へ入るようにと誘導されるだろう。その部屋は通称「ミスカトニック図書館」、彼フィリップスさんは君たちをギルドの深淵へと招き入れるのであった。
2. 導入
図書館の中は建物外観の面積からは想像出来ない程広い、かなり広大なまさに大図書館という風な外観だ。だか深く考えてはいけない。この図書館は今回のシナリオと関係無いぞ!そんな図書館の中、ラブクラフトさんは入ってすぐのテーブルと椅子へ探索者達は座るようにと促してくる。君たちが大人しく席へついてもつかなくても、ハワードさんは何処からか連れてきた猫を撫でながら話を始める。
以下全てラブクラフトのセリフ
「今回君たちに依頼を出したのは私の古い知り合いでね、名をダーレスという。まあ依頼内容には関係無いがね。」
「それじゃあ本題だ、君たちを呼び出したのは近隣の村、馬車に乗れば3日程で到着する、そうダニッチ村へ向かい、そこの村長『ウィルバー・ウェイトリー氏』の依頼をこなしてほしいという物だ。」
「報酬は一人頭破格の3000ガメル、前金として1人300ガメル出るそうだ。この依頼、受けるかね?」
「依頼内容が知りたい、そうか。当然だ。依頼内容、詳しくはウィルバー氏に尋ねて欲しいが、概要だけ話そう。」
「なんでも最近、村の近隣で化け物が出るそうだ。蛮族?いいや、それはわからない。彼の手紙には『化け物が出る、助けて欲しい。報酬は弾む、助けてくれ。お願いだ!』とだけ書かれていた。」
「つまり君たちはダニッチ村へ行き、村長ウィルバー氏の言う化け物を倒す。そういう依頼だ。」
「私も詳しい事はわからない、が、これをこのまま放置すると良くない事が起きる予感がする。私の感、悪い方だかね。よく当たる。」
「君たちには是非この依頼、受けてもらいたいと思っている。もし受けてくれるのならば、ギルドからではなく私個人の財布から追加の前金、300ガメルを支給しよう。」
「君たちはなにか大きな力、ポテンシャルを感じる。そう、私の知る彼ら、狂気と恐怖に飲まれる間で知恵と勇気を振り絞り、苦難を乗り越える探索者。そんな強き者の素質をね。」
そういうと彼は依頼書、前金600ガメルをそれぞれの冒険者へ渡すのであった。
セリフはあくまで筆者がゲームマスターを行う際のセリフとして書いた文章であり、一つの目明日です。 セリフ内容はある程度プレイヤーの発言を予測、ゴネた場合等の対象等も含んでいます。 ゲームマスターは上記のセリフをそのまま読み上げても良いですし、セリフを改変、追加するなどしても良いと思います。 以降もNPCのセリフを用意していますが、注意事項等は省略させていただきます。
3. 探索者の準備と行動
冒険者達はこれから馬車へ乗り、ダニッチ村へ向かう事になる。しかしダニッチ村までの乗合馬車は1台、人気も無い村という事で乗り合いの客はおらず、御者1名との珍道中が始まる。さてここで冒険者達は買い物をする事が出来る、さああなた達はどのような店に入り、どのような会話をしているだろうか。
4. 馬車へ乗りダニッチ村へ
各々買い物をする、もしくはしないでそのまま村へ向かう事になる冒険者達。
以下全て御者(ヘンリー・アーミテッジ)のセリフ
「お客さん珍しいねぇ。ダニッチへ向かうのかい。あそこへ行く連中なんて滅多にいないが、旅行かなんかですかい?」
「ああそう、依頼で向かわれるんですかい。あそこはいい村です、景色はのどかで空気はキレイ、水も美味いし食い物もよくとれる。」
「そういや観光資源が自然だけってのもなんなんで、あそこでなにか名物をなんて話をしてるみたいですよ。まああれです、何処もかしこも世知辛い世の中って訳ですねぇ。」
馬車での移動は3日、その初日である現在、馬車の中は君たちのみの貸し切り状態、さてこの状況でどのような会話をしているだろうか。
※ヘンリー・アーミテッジはダニッチに活動拠点を持っているが、あくまで別荘程度の物であり、原則アーカムに住んでいる人物である(ミスカトニック図書館の館長という側面もある) ※6日前、日用品を積んだ馬車でオズボーン雑貨店へ向かう ※雑貨店へ荷を下ろした直後、『ウィルバー・ウェイトリー』の使いと名乗る紳士から、アーカムサーチャーギルド宛の依頼文と金銭を預かり、即日とんぼ返りする事になった ※その為ダニッチ村で起きた一連の怪物出現事件については、依頼文以上の情報を持っていない
5. 馬車での夜
君たちは馬車で揺られながら過ごしていると何事もなく夜を迎える事ができる。そんな夜だが、蛮族達の奇襲がある事も考え、いつものように交代で見張りを立て、眠る事にした。御者ははじめに見張りをしてくれる事になり、3名ならば1名は御者と会話を、残り2名で会話をという流れになるだろう。さあそんな夜、焚き火を囲んだ君たちは一体どんな話をするだろうか。
※ヘンリー・アーミテッジの話す内容はダニッチが田舎ののどかな村だという事、怪物出現事件があったらしいという事位の物である ※身の上について詳しく聞かれると、彼は現在72歳であり、君たちの属するギルドで普段は図書館館長をしている事を話すだろう ※ウィルバー・ウェイトリーについてたずれられると、彼は貴族の出で、おそらく何世代か前の先代が、領地として下賜されたダニッチへ移住した家系である事がわかる ※ウィルバー・ウェイトリーの印象をたずねられると、彼は相当に賢い人物であり、体格も良く、名村長であるという印象を持っているようである ※襲撃イベントは想定していないが、難易度を上昇させたい場合はGMが各々設定し、蛮族の襲撃イベントを行っても良いだろう
6. 2日飛んで村へ
2度の夜を超え、いよいよダニッチ村へ到着する君たち冒険者、風光明媚な村である。自然は豊かで都会の喧騒を忘れ、余生を過ごすのにはこんな村がいい、そう思えるような村である。
ここで君たちにはアイデア判定を振る事が出来る。目標値は7とする。
アイデア判定に成功すると「風景はのどか、明るい日差しも入ってくる。しかしなぜだろう、何処か変だ。そうだ、ここは自然豊かな村だ。なのになぜだろう、鳥のさえずりも虫の鳴き声も何も聞こえない…」そう思ったあなたはSAN値チェック、成功でSAN値『 0 』、失敗でSAN値『 1 』上昇。
さて村の中、馬車の停泊地、宿の側まできたあなた達、現在は昼を過ぎた辺りの時間である。冒険者が大まかに大きな行動を2個程取った後、もしくは直接村長宅へ行き話を聞き終えた場合、夜になるものとする。
御者は「村を出る時は声をかけてくだせぇ。あっしはこの宿の物置を間借りしてるんで、今居る宿の裏へ回って、掘っ立て小屋があるんで、そこへ来てくだされば馬車をだせますんで。」というとスーっと宿の裏手へ消えてゆくのだった。さあそんな状況のあなた達、ここでどのような会話をしているだろうか。
7. ダニッチ村の様子
ダニッチ村には今居る宿、教会が横にくっついている商店らしき建物(看板にはオズボーン雑貨店と書かれている)、後は村人の住んでいると思われる家が20軒程、街外れにはひときわ大きな家が1軒立っている。この村にギルドは無く、一つの商店と一つの宿、後は民家と畑、牛舎と牧場というかなりのどか、悪く言えば寂れた村だという印象を受けるだろう。ここで冒険者達は街の人々に話を効くことも出来る。
その辺の人(農民)のセリフ
「おや、外の人だろう。珍しい。どっから来た?」
「おおアーカムから、長旅だったろう。ここはいい村だ。ゆっくりしていきなされ。」
「え?ウィルバーさん?それならあの一番立派な家、この村の村長様だよ。」
「あの御方ならおそらく家にご在宅だろう。なにか聞きたい事があるのなら失礼の無いようにな。」
鳥のさえずりも虫の鳴き声も何も聞こえない事を聞いた場合の反応
「ああそれか。動物の音がしなくなったのは確か化け物が出たっていう事件の2~3日前位だ。正確に何日前ってのはハッキリしないがとにかくそんくらい前だね。」
「畑や牧場で働いてる連中の多い村だ、全員変だといって気がついては居たが原因もわからない。」
「今思えば化け物が出た事と何か関係があるんだろう。全く不気味な話だ。あんたら冒険者だろ?解決してくれると助かるよ。」
化け物や事件について聞いた場合の反応
「化け物が出た?ああ、化け物、ね。出たよ。ありゃ蛮族、かねぇ。私ら農民ばっかでそういう事に疎いから。何かはわかんないんだけどね。」
「見たやつの話じゃ夜の月明かりに照らされて肌が青く光ってた、まるでそう、魚、川で取れるような魚の色じゃ無いが、光の感じが魚のような大男だって話だよ。」
「しかし、ねぇ。見たやつ、ウィリアムだ。気をやっちまって、今は放心しちまってるよ。何日か夜中叫んでたかと思ったらぷっつりとね、まともにゃ喋らなくなっちまった。」
「様子を見に行ってもただ一点を見つめてボーッとして、よだれも垂らしたまま小さい声でうわ言みたいに『イン..クト…目覚める、…の魔女…助け….』って繰りかえすばっかりでね。」
「あいつはダメだから村長様にお聞きになった方が良い。この村の事に一番くわしいのは村長様だからね。」
などの会話をする事ができる。
※もしも冒険者が村長であるウィルバー・ウェイトリーの評判を聞いた場合、彼の評判はかなり良いという印象であり、悪く言う人間は不自然な程居ない事がわかるだろう ※続柄として祖父にジョージ・ウェイトリー、父は村の外の人間?(名前と現在の消息は不明)、母親にはラヴィニア・ウェイトリー、兄としてウェイバー・ウェイトリーが居る事がわかる ※祖父と母は9年前、村と家をウィルバーへ任せてアーカムに移住、兄は滅多に人前へ姿を現さないという ※兄ウィルバーを見た事のある村人の印象としては、ローブかなにかで顔は見えなかったが、かなりの長身で体格も相当良い人物であるという
8. オズボーン雑貨店
雑貨店の中には店主(ジョー・オズボーン)が1名、雑貨はなんてことの無い、農具や生活に使うような生活雑貨が並んでいる。冒険者にとって有用になるような農具や生活用品を買うことならば可能であるし、それ以外、冒険者達の武器になりそうな物は無いだろう。この店の店主、ジョー・オズボーンは酷くやつれたような、生気の無い顔をしており、お世辞にも元気とは言えない様子である。
オズボーンに情報を聞きたい場合、なにかを買う必要がある。(具体的には10G以上使う必要がある)
オズボーンのセリフ
「あんたらここは雑貨屋だ。何を買うんだ?」
「まいど。で何だって?」「ああそう、化け物。ありゃ蛮族、じゃねぇな。なにかもっと別のもんだ。」
「俺も見た。こっからは村長には言うな、でなきゃお前らも…まあいい。変になっちまったウィリアムには同情するぜ。あいつは玉の小さい野郎だったからな。あんなもん見たらあーもなっちまうかもな。」
「俺の知ってる限りの知識じゃ、ありゃ蛮族じゃねぇ。蛮族ってのは化け物みたいな見た目でも、人間族に近いコミュニケーションを取るだろ。」
「だがあいつらは違う。何というか感覚が、いいや、なんというか法則自体がズレてんだろうな、森に住んでた蛮族をとっ捕まえて生きたまま…まあ訳の分からん儀式みたいな事してたよ」
するとオズボーンはみるみる顔色が悪くなり、手で口を押さえ始める。
「あー、最悪だ、思い出したく無いもん思い出しちまった。お前ら今日は一旦帰れ。とりあえずは宿か、行ってないなら村長の家へ行って話を聞いてくれ。」
「俺は今から吐いてくる。」
というと彼は店の奥へゆき、嗚咽する音が聞こえて来るだろう。
※冒険者の行動に関わらず、彼は1日目の夜、森へ入り、罠を設置する事となる ※罠は落とし穴であり、判定は『 2D6 + 2 』を振り、『 目標値12 』で判定する必要がある ※ゲームマスターは『 2D6 + 2 』を『 4回 』振る事が出来る、成功した数だけ化け物を騙せるレベルの罠を設置出来る事だろう ※罠の発動条件は2日目以降、オズボーンと冒険者が協力状態になった場合発動可能である
9. ウィルバー・ウェイトリー村長宅へ
村長の家は他の家が木造であるのに対し、石造りの立派な佇まい、小さな屋敷のようなかなり立派な造りの邸宅だ。ドアをノックする前、冒険者達がドアに近づいたタイミングでギィーという音を立てて木製のドアがゆっくりと開く。中は豪華な内装、派手すぎず慎まし過ぎず、どこかわびを感じさせるような内装である。ドアの向こうには執事風の男性が1名、メイドが2名待機している。
執事「ようこそお越しくださいました冒険者殿、中で旦那様がお待ちでございます。どうぞ中へお入りになってください。」
そういうと彼は君たちを中へ通す。
何やら応接室のような雰囲気の部屋へ通された探索者は、ここでアイデア判定を行う事ができる。目標値は12とする。
判定に成功すると「この家の調度品は全て村の発展具合に似つかわしくない程高価な品ばかりであり、全ての部屋は清掃が完璧に行き届いている。金物にはサビもない。この家の家主は相当に金持ちか、はたまた相当力のある人物なのだろう。」という事に気がつくだろう。
そんな探索者達、部屋へ入ってすぐお茶のセットを出される。お茶や菓子等をなんらかの判定により鑑定(目標値は12)すると「大変質の良い素材を用いて調理、淹れられた紅茶と菓子類であり、これを用意した者の腕は相当に高いと気がつくだろう。」これらに気がつく事ができた冒険者はもしかすると実家が貴族階級や富裕層であるのかもしれない。
ひとしきりティーセットの支度を終えた彼は「それでは旦那様を呼んでまいります。しばしお待ち下さい。」というと部屋から出ていくだろう。部屋には1名メイドが残り、姿勢を崩さず待機している。さてここで探索者達はどのような事を話すだろうか。
※メイドについては当たり障りの無いどうでも良いような会話には応じてくれる。※少し込み入った事を聞いた場合、「そちらの内容ですと旦那様から発言の許可を頂いておりません。申し訳ありませんが回答は差し控えさせていただきます。」と返答を受けるだろう。
10. ウィルバー・ウェイトリー
探索者達が5分程待ったタイミングでドアが空きこの家の主「ウィルバー・ウェイトリー」氏が現れる。
ウィルバー「いやはやおまたせいたしました。私が当家の主、ウィルバー・ウェイトリーと申します。」
というと洗練されたと表現したくなるような何処か美しさすらある所作、動きで冒険者達の対面へ座る。
「長旅でお疲れでしょう。どうぞ楽になさってください。」
と言い、冒険者達と適当な会話を数度行う。暫くの後、彼ウィルバー・ウェイトリーは改めて依頼の説明を始めるのである。
ウィルバー・ウェイトリーのセリフ
「では依頼の説明でしたね。今回の依頼は森に出た化け物をどうにかして欲しいという依頼になります。」
「化け物が出たのはほんの2週間前、目撃者はウィリアム、森へ薬草と山菜を採取しに行っていた時だそうです。彼は目がいい。それが幸いしたとも、災いしたとも言えるでしょう。」
「随分深くまで森へ入り、日も暮れ夜になろうという時、そう、逢魔ヶ時。森の中、遠くに人影を4人見たんだそうです。」
「だんだんと日が沈み、太陽が完全に隠れ月が登る。そうなるまで彼は動けなかった。」
「そう彼は腰が抜けて動けなくなってしまっていたのです。原因は分からないが体の自由が効かない。」
「そうして動けぬまま彼は目にする。あの人影により蛮族が生きたまま串刺しにされ、大柄な男たちがそれを取り囲むようにしてなにか儀式めいた事をやっている。そんなおぞましい光景を。」
「大柄な男だとおもっていたそれは人間では無く、なにか化け物、青い肌をした大男だった。」
「彼らはなにやら不明な言語で、ひたすら何かを唱えながら、蛮族が死なないように、丁寧に丁寧に痛めつけていた。彼は思った。あれに見つかったら俺もあの蛮族のようにされるのではないか?と。」
「いつの間にか動けるようになっていた体で這うようにその場を後にし、命からがら村へ帰還、直後ひとしきりこれら出来事を私の元へ来て語り終えると彼は去り、数日後には完全に発狂してしまった。」
「信じられない話かもしれませんが、ここ2週間森周辺で蛮族を見る事が全く無いと村人全員が言っている。」
「事件後怖いもの見たさから森へ入った若者の話によると、ウィリアムの話を裏付けるように、何か儀式の跡と思わしき蛮族の惨殺体を森の奥の方で発見したという報告を受けています。」
「そこで冒険者の皆さんには、森に出るという青い肌の化け物をどうにかしていただきたい。」
「発狂してしまったウィリアムの為にも、是非よろしくお願いします」
というと頭を下げる。
「それと宿屋への宿泊代金については当家で持ちますので、宿代は無料となります。もしご滞在なさるのでしたらどうぞご活用ください。」と付け加える。
村の中で森を案内出来るのは御者のヘンリー・アーミテッジ、通称アーミテッジ博士だという事を教えてもらえるだろう。博士は御者として森や街道をよく通るので、この辺の地形に詳しいらしい。趣味で地質学の調査等も行っているという面もあるらしいと伝え聞く。又冒険者が望むのであれば発狂してしまったウィリアムの家を紹介してもらう事も可能である。しかしウィリアムはまともに話をすることが出来る状況では無いので、行ってもおそらく無駄足だろうとの事である。
※ウィリアムの家を尋ねた場合、やつれた顔の母親が応じてくれるが、村人とほぼ同様の情報しか持っていない ※母親の判定としてゲームマスターは『 2D6 』を振り、目標値7に成功すると、ウィリアムが深夜飛び起きて「魚が!魚が!襲いかかって来る!あ゛ーーーーーーーーー!!!!!」と叫んだ事を思い出して伝えてくる ※ウィリアムの家へ行った場合に得られる情報はこの程度である ※好奇心から森へ入った若者については、惨殺体を見つけてビビって逃げ帰って来た為、村人と同程度の情報しか知らないものとする ※依頼を出したのは貴方かというような事を聞くと、実際に依頼を出したのは兄ウェイバー・ウェイトリーであり、兄が私の名義を使って依頼をギルドへ出したと聞くことができる ※依頼は何れにせよ出すつもりであったので、早期に兄が動いた事は当家の総意である事も付け加える ※兄について聞くと、兄は普段地下に籠もって本を読みふけっているが、珍しく外へ出たと思うと件の依頼を出し、その直後から姿を消しているらしい ※兄の行方は残されていた置き手紙等からアーカムへ向かったらしいという事、アーカムには祖父と母が居るので、その辺りを頼ったのではないかという事を言ってくる
この辺りで日が暮れ、夜になり、森の調査をするには危険な状態になる。しかし冒険者達が望むなら闇夜で探索をしても良いし、明るくなる明日探索する事にしても良い。
11. ヘンリー・アーミテッジ
ヘンリー・アーミテッジのセリフ
「ウィルバーからの紹介か。御者、としてではなく森の案内人で。分かった。」
「それじゃあ私も準備があるものでね、昼頃合流しよう。」
そういうとヘンリーは物置小屋で荷物をまとめ始める。昼までには少し余裕がある、何処かで聞き込みをする程度の事は出来るだろう。そんな中君達はどのように会話をするだろうか。
12. 雑貨店2日目
雑貨店へ行くと店主のオズボーンは酷く狼狽していた。
オズボーンのセリフ
「お前らか。あの後、夜森へ行った。あれは酷く醜い化け物だ。蛮族にもそんなのは居る。しかし奴らを見ていると心臓を直接手で握られているような、そんなどうしようも無い恐怖を感じる。」
「あいつらをどうにかしないとマズい事になる気がする、俺は穴を掘りに行く。クソッタレな奴らを地獄へ落として二度と出られないよう、地下深く埋める為にな!」
「お前らはどうする?奴と戦うか?それとも狡猾に罠を張るか?俺は後者を選ぶ。」
「お前らが失敗した時の保険は必要だろ?俺は寝る、そして起きたら穴を掘る。」
「でもお前らには期待してるんだ。そうだ、これをやる。」
そう言って魔晶石5点分のついた指輪を4つ渡して来る。
「これが俺の期待の大きさだ。冒険者にも使える雑貨って奴だ、頼んだぜ」
そういうとフラフラと店の奥へ歩いて消えてゆき、ドサっという音がすると寝息が聞こえてくるだろう。
※オズボーンに協力する場合、夜彼に会いに来る事で行動を共にする事ができる ※行動を共にする場合、この世界にふさわしくない道具である『 懐中電灯2本 』と『 ダイナマイト3本 』、『 スコップを罠設置出来る人数分 』用意して来る ※懐中電灯はオズボーンが1本、もう1本はアーミテッジに持ってもらうか、冒険者が片手を使って持つ事となる ※懐中電灯を使う事で暗闇によるデメリットは相殺出来るものとする ※懐中電灯やダイナマイトについて、ファンタジー世界、ソード・ワールドの住人である冒険者は知らないかもしれない ※懐中電灯については燃やす必要の無いランタン、ダイナマイトについては強力な投擲武器だと説明するだろう ※スコップを用いて「罠設置判定」を行う場合、このシナリオ限定ではあるものの、ボーナスとして『 +2 』を得る事ができる ※NPCは戦闘に参加しない為、戦闘を行う場合オズボーンは懐中電灯で君たちを照らす役割に従事する事となる
13. 森へ
森の中は一見するとのどかで光のよく入る、手入れされた森という印象を受けるだろう。しかしどうだろう、やはり鳥も虫も鳴いていない。そんな森の中でアーミテッジ博士は「森がやけに静かだ。まあいい、おそらく蛮族が殺されたのはこの奥でしょう。」というと宛があるのか森の中をズンズン進んでいく。そんな状況で探索者達はどのような会話をするだろうか。
ここで冒険者達は何らかの判定を行う事ができる。目標値は10とする。
状況に適合するような判定(割りと何でも良いものとする)、もしくはアイデア判定に成功すると、木に付いている傷跡と血痕を発見する。
傷跡は爪によるもので、苦しんだ末力が入り、引っ掻くような形で付いた感じのする跡であり、血痕は垂れた血液が周辺に、木には手形としてベッタリと張り付いている。
周辺の足跡や血痕の様子からは「相当重症の状態で何かから逃走を試みているようだ」と気がつくだろう。
魔物知識判定に成功すると以下の情報を追加で得る事ができる。目標値は5とする。
手形と身長から、この血痕はおそらくゴブリンのものであると判断できるだろう。そしてこうも思う。
「ゴブリンといえど、新人冒険者が1対1で戦闘を行った場合、油断すれば危険な相手である。」
「ゴブリンは全体で見ても弱めの蛮族であると認知されているが、ただ一方的に攻撃を受けてやられるような生物でもない。」
「そんなゴブリンが一方的に逃げる事しか出来ない相手とはどのような存在なのだろうか…」
「背筋に冷たい物が流れる。」
14. 現場検証
探索者達は森の中の少し開けた広場のような場所まで到達する、そこには焦げた焚き火の跡、腐りかけた蛮族の惨殺体が11体転がっている。死体は全て皮が剥がれ、手足を串刺しにされ、内蔵は内側から破裂したような状態だと見てとれるだろう。
これを見た探索者はSAN値チェック、成功でSAN値『 0 』、失敗でSAN値『 1D2 』上昇。
[ 死体の情報 ]
魔物知識判定(目標値7)に成功すると、惨殺体は8体がゴブリン、3体はグレムリンであったと分かる。幾つかの死体(グレムリンの死体)の周辺には何かに対し抵抗したような痕跡も残されているが、その感じからまともな状況で戦闘したというような跡ではないとわかるだろう。
アイデア判定(目標値9)に成功すると以下のように思いつくだろう。
「それはまるで、逃げ場も無く、腰も抜け、どうしようもない程酷く怯えきった子供が、自分よりも遥かに大きく、凶悪な武器を持った大人に対し、虚しい抵抗をしているような、そんな痕跡である。」
「グレムリンさえまともに戦闘すら出来ない存在とは、森に出る化け物とは一体どのような存在なのだろうか…」
[ 焚き火の情報 ]
焚き火の跡を調べるには「センス・マジック」等の魔法を鑑別する魔法を使用する必要がある。魔法行使判定(例外的に設定、目標値12)に成功すると、以下の情報が判明する。
「確かに何かの残渣は残っていた。」
「しかし君の知るどんなに高名な魔法使いも、どんなに研鑽を積んだ賢者でさえも、世界中を探し回ったとして、きっとどんな魔導書にさえも載って居ないだろう、魔法ではない『 魔術 』という概念。」
「魔法とは程遠い、余りにも禍々しい、使えばその者を狂気に陥れる、悪意に満ちた呪いのようなおぞましい術、外宇宙の神が齎した冒涜的な知識!その一端を理解してしまう!」
これを理解してしまった冒険者はSAN値が固定で『 1 』上昇、追加でSAN値チェック、成功で『 1 』、失敗で『 1D2 』上昇する。
加えて、これを理解してしまった冒険者は神話生物知識判定を行使する権利を得る事になる。
これらの情報を他の冒険者と共有しても、魔術という物がある事は情報として伝わるが、直接深淵なる知識へ触れた訳では無いので理解は出来ない。その為他の冒険者がSAN値チェックを行う事は無いし、神話生物知識判定をする権利も得られない。
[ 周辺を調べる ]
周辺に対して足跡追跡判定を試みる事ができる。目標値は12とする。
失敗した場合「足跡を探すと人間は勿論、ゴブリンやグレムリンと比較して、異常な程大きい足跡を発見する。その足跡は裸足の人間のそれに近いが、明らかに異形である。」
成功した場合追加で「確かに化け物の物と思わしき足跡は残っているが、何処へ向かったか悟られないよう、追跡者を蒔くための偽装工作が成されている。化け物の知能は人間に引けを取らない程高いかもしれないと思い至る。」
「何処へ向かったかまでは分からなかったが、広場へ何度か出入りしているような形跡はある。周辺に罠を設置すれば上手く嵌める事が出来るかもしれない。」
「足跡の個体差から、個体は4体だと確定でわかるだろう。」
ヘンリー・アーミテッジのセリフ
「こりゃ酷い。蛮族でもここまでの事はしない、ウィリアムはこれが行われている光景を生で見てしまったんですね…」
「しかし森の中で開けた場所はそう多く無い、ここで待機していれば例の化け物も現れるかもしれません」
そういうとアーミテッジは森へ隠れて待機する事を勧めて来る。そんな状況で探索者達はどのような会話をするだろうか。
15. その場で待機する場合
罠設置判定をう場合、目標値12で判定を行う。
成功した場合、実用に足る罠を設置できた物として扱うが、失敗した場合相手は罠を回避してしまうだろう。
暫く待機、2時間程経っただろうか。
「まだ明るいはずの森が一気に暗くなったような雰囲気を感じ取る。」
「背筋に冷たい物が流れる、辺りの空気はまるで粘度の高い液体のように重い。」
「鼻を突くのは腐った魚と腐乱死体を混ぜ合わせたような、とてつもなく不愉快な生臭さ。」
ここで探索者はSANチェック成功で『 0 』、失敗で『 1 』上昇する。
遠くかザッザッザッとなにか大きな生物が歩いてくるような足音を複数感じるだろう。足音は馬のような4足歩行の動物が出すそれではなく、大きな人型の生物が出すような足音、そんな印象を受ける。段々と足音が広場へと近づく、そして探索者の視界へおぞましい化け物が4体出現する。
月明かりに照らされた奴らは全体的に灰色がかった青色だったが、腹部だけは白かった。皮膚は光ってツルツルした感じだが、背骨の隆起している部分は鱗に覆われていた。全体的な構造はなんとなく人間に似ていたが、頭部は魚だった。目が飛び出していて決して瞬きをしない。首の左右にはエラがあり、手足の先には水かきがついていた。じっと見つめるような瞬きをしない顔からは何の表情、感情も感じ取る事は出来ないが、やつらを見て感じるその感情、恐怖はそう!名状しがたき恐怖、狂気の世界からの来訪者、おぞましい化け物、神話生物である!
これを見た探索者はSAN値チェック、成功で『 0 』失敗で『 1D6 』上昇する。
[ 罠について ]
実用的な罠を設置出来たとしてもも、化け物は罠を見破るかもしれない。化け物が実用的な罠に気がつくかどうかの判定は『 2D6 + 3 』で判定を行い、目標値は12として扱う。ゲームマスターは4体分判定を行い、失敗した個体が居れば実用的な罠に嵌ってしまうだろう。
16. 深きものとの遭遇
深きものは探索者の存在に気がついてはいない為、戦闘を仕掛ける場合、確実に先制を取る事ができる。先制の有利さを活かして攻撃行動を取る事も可能であるし、そのまま逃げて村へ帰り対策を練る事もできる。
[ 逃げる ]
逃げる場合、隠密判定にボーナス『 +2 』を追加し、目標値12を達成する必要がある。この判定は誰か1人でも成功者が居れば良いものとする。判定に成功した場合、無事に村まで逃げ帰る事が出来るだろう。
[ 逃げる-失敗後 ]
もしも隠密判定に失敗した場合、深きものどもは冒険者達を発見し、追いかけて来るだろう。奴らを振り切る為には『 2D6 + 俊敏度ボーナス 』で12を達成する必要がある。これは個別に成功失敗を求め、成功者は無事村まで逃げ帰る事ができる。万が一失敗した冒険者が居た場合、追加で隠密判定を行い、目標値12を達成する事で無事に村まで逃げ帰る事が出来るだろう。
17-1. 逃げて対策を練る場合
[ オズボーンに協力する ]
オズボーンに協力して穴を掘る場合、隠密にボーナスが付く夜を狙って行動する事になる。落とし穴を掘る場合、罠設置判定を成功させる必要がある。目標値は12とする。冒険者が罠設置判定を行えない場合でもオズボーンは罠設置判定を行う事ができる。ゲームマスターはオズボーンの罠設置判定を『 2D6 + 2 』で行う。冒険者同様目標値は12とする。
[ 1度目の罠設置判定を行った後 ]
続けて罠設置判定を行う場合、深きものと八合わせる可能性がある。深きものが偶然その場へ来ないかどうかを判定する為、『 2D6 + 冒険者レベル 』で判定を行う。目標値は12とする。この判定は誰か1人でも成功者が居れば良いものとする。
もしもこの判定に成功した場合、続けて罠設置判定を行う事ができる。目標値は先程同様12とする。以後再度罠設置判定を行う事はできない。深きものは何処から調達したか、死にかけの蛮族を持って広場へと姿を現す為である!
[ 深きものが罠に落ちるかを判定 ]
罠を設置出来たとしてもも、化け物は罠を見破るかもしれない。化け物が罠に気がつくかどうかの判定は『 2D6 + 3 』で判定を行い、目標値は12として扱う。ゲームマスターは4体分判定を行い、失敗した個体が居れば罠に嵌ってしまうだろう。
[ 罠に落とした後の行動 ]
落とした後奴らは石を投げつけて来る程度の行動しか取れず、穴から這い上がる為には戦闘ラウンドにして3ラウンドを必要とする。オズボーンと協力関係にある場合、穴へ向けてダイナマイトを『 3本 』投擲する事ができる。
投擲する為には『 2D6 + 器用度ボーナス 』で判定を行い、目標値10を達成する必要がある。成功した場合、穴の中に居る深きものに対して『 4D6 』の物理ダメージを与える事が出来る。
[ 罠に落ちなかった個体の行動 ]
罠にかからなかった深きものは、潜伏している冒険者にはまだ気がついていない為、自動的に先制を取る事ができる。残った個体を討伐する為には戦闘行動を行うしか方法は無い。最後の最後は戦闘を行って深きものを撃破する必要がある。戦闘ラウンドが4になると、落とし穴に落ちていた深きものが這い出て戦闘に参加してくる。
[ 3ラウンド以内に戦闘を終えた場合 ]
罠に落ちている深きものは上から一方的に攻撃を加える事で自動的に撃破出来たものとして扱う。プレイヤーが思う演出をし、奴らを撃破する事が出来るだろう!
17-2. 逃げて対策を練る場合
[ 自力で対策を立てる ]
落とし穴等の罠を作る場合、罠設置判定を成功させる必要がある。目標値は12とする。
[ 1度目の罠設置判定を行った後 ]
続けて罠設置判定を行う場合、深きものと八合わせる可能性がある。深きものが偶然その場へ来ないかどうかを判定する為、『 2D6 + 冒険者レベル 』で判定を行う。目標値は12とする。この判定は誰か1人でも成功者が居れば良いものとする。
もしもこの判定に成功した場合、続けて罠設置判定を行う事ができる。目標値は先程同様12とする。以後再度罠設置判定を行う事はできない。深きものは何処から調達したか、死にかけの蛮族を持って広場へと姿を現す為である!
[ 深きものが罠に落ちるかを判定 ]
罠を設置出来たとしてもも、化け物は罠を見破るかもしれない。化け物が罠に気がつくかどうかの判定は『 2D6 + 3 』で判定を行い、目標値は12として扱う。ゲームマスターは4体分判定を行い、失敗した個体が居れば罠に嵌ってしまうだろう。
[ 罠に落とした後の行動 ]
落とした後奴らは石を投げつけて来る程度の行動しか取れず、穴から這い上がる為には戦闘ラウンドにして3ラウンドを必要とする。
[ 罠に落ちなかった個体の行動 ]
罠にかからなかった深きものは、潜伏している冒険者にはまだ気がついていない為、自動的に先制を取る事ができる。残った個体を討伐する為には戦闘行動を行うしか方法は無い。最後の最後は戦闘を行って深きものを撃破する必要がある。戦闘ラウンドが4になると、落とし穴に落ちていた深きものが這い出て戦闘に参加してくる。
[ 3ラウンド以内に戦闘を終えた場合 ]
罠に落ちている深きものは上から一方的に攻撃を加える事で自動的に撃破出来たものとして扱う。プレイヤーが思う演出をし、奴らを撃破する事が出来るだろう!
18. 深きものとの戦闘
深きもののステータス
- レベル : 3
- 知能 : 高い
- 視覚 : 五感
- 反応 : サーチアンドデストロイ
- 穢れ : 枠外
- 言語 : 不明
- 生息地 : 不明
- 知名度/弱点 : No Data
- 弱点 : 無し
- 神話生物知識判定に成功(初見時) : 神話生物知識判定の値が1減少
- 先制値 : 12
- 移動速度 : 12
- 生命抵抗力 : 13
- 魔術抵抗力 : 12
- 近接戦闘 : 命中( 2D6 + 2 )
- 打撃点( 2D6 + 1D4 )
- 回避力( 12 )
- 防護点( 2 )
- HP( 25 )
- MP( 10 )
- 特殊能力 : 水中戦闘になると強制的に先制を取る事が出来る
- 戦利品 : 2 ~ 5( 無し )
- 戦利品 : 6 ~ 11( 名状しがたき皮膚100G )
- 戦利品 : 12( 名状しがたき鱗300G )
- 全員が前線エリアで戦闘する設定となっている
19. 奴らを始末し終えた場合
討伐を終えた後、森の中を確認するも深きものの残党や痕跡は見当たらず、完全にクトゥルフ神話を打ち破った事を実感するだろう!そして君たちは気がつく事になる、失われていた鳥や虫の声が少しづつ戻り始めている事に!狂気を打ち破り、正気の世界を取り戻した君たちは安堵感に包まれる事だろう。
探索者達が見事に奴らを始末し終え、村長である「ウィルバー・ウェイトリー」氏へ証言者(アーミテッジ等)も連れて報告へ行くと、報酬である3000Gを各々が受け取る事になる。
ウィルバー「この度は本当にありがとうございました。冒険者の皆様。これは約束の報酬になります。」
そういうと執事の男性はそれぞれの冒険者の眼の前に3000Gが包まれた布を置き封を解く。執事「ご確認を」というときっちりと3000Gある事がわかる。
ウィルバー・ウェイトリーのセリフ
「あなた方は実に勇敢で優秀な冒険者だ。何れ英雄と呼ばれる時が来るでしょう。」
「優秀な皆さんがいればいつまたあのような化け物が出ても安心です。有事の際にはまた依頼することになるかもしれません。その時はよろしくお願いいたします。」
そういうと彼は深く頭を下げた。
ウィルバー邸を出た君達、完全に依頼は達成し後は帰るだけ。帰りの馬車に揺られながら、晴れ渡った空と綺麗な景色を見ながら帰路へ就く事になります。さあ最後、これが締めとなるロールプレイです。冒険者達はどのような会話をしてセッションを締るでしょうか。
これにてソード・ワールド2.5自作シナリオ、クトゥルフからの呼び声、終了ですお疲れ様でした!
20. 壊滅した場合
君たちは神話的脅威に屈する事となった。奴らの信奉する悍ましい神の贄となるのだ!大いなるクトゥルフ神!その贄に!
イア!イア!クトゥルフ・フタグン!イア!イア!クトゥルフ・フタグン!
イア!イア!イア=ルルイエ!
イア!イア!クトゥルフ・フタグン!イア!イア!クトゥルフ・フタグン!
イア!イア!クトゥルフ・フタグン!イア!イア!クトゥルフ・フタグン!…
その後、彼らの姿はおろか、その死体すらも発見される事は無く、彼らの魂すらもクトゥルフ神話の闇へ深く深く飲まれてゆくのであった…
これにてソード・ワールド2.5自作シナリオ、クトゥルフからの呼び声、終了ですお疲れ様でした!
あとがき・補足等
今回は2時間30分で書いたシナリオでしたが、実際に卓を開催後配布用に加筆修正し、結局執筆に15時間程掛かってしまったシナリオを公開してみました。
このシナリオを執筆した時点では自分自身、ルルブⅠ買った直後というような状況でした。
経緯としてはソード・ワールドが好きでゲームを始めたが、言い出しっぺの法則によりゲームマスターしかやれていない知人が周囲に居ると判明し、彼をプレイヤーとしてゲームに招待してみたいという理由で執筆したシナリオになります。
その為知識不足等からシナリオ中の設定や判定に不備等あるかと思いますが、プレイの際は柔軟に対応していただければと思います。
ゲームマスターやシナリオ作成というのは個人的に好きな行為ですので、シナリオを作成し、近々続編として公開できれば良いなーと思っております。
このシナリオを遊んでくださる方がおられましたら、楽しんでいただけると幸いです。